ロータリーとは、ひとくちにいえば、世界最初の奉仕クラブ組織です。説明のしかたはいろいろありますが組織としてみたロータリーとは、ロータリー・クラブ連合会です。世界各地のロータリー・クラブが集まって構成されている連合会は「国際ロータリー」とよばれます。すべてのロータリー・クラブは、この国際ロータリーの会員です。そしてロータリアンとは、各ロータリー・クラブの会員個人のことです。国際ロータリーの会員といえば、あくまでロータリー・クラブを指し、ロータリアン個人ではないことにご留意ください。なお、国際ロータリーの中央事務所は、米国イリノイ州エバンストンにあります。
ロータリーとは「人道的な奉仕をおこない、あらゆる職業において高度の道徳的水準を守ることを奨励し、かつ世界における親善と平和の確立につくすことをめざす、実業人および専門職業人が世界的にむすびあった団体である」と正式に定義されています。
一方、ロータリー・クラブとは「奉仕の理想を各人の個人生活、職業生活および社会実践の基盤とすることに同意した、実業人や専門職業人によってできたクラブ」と定義されています。
今日、全世界のおよそ207の国や地域に約33,800余のロータリー・クラブがあり、奉仕の心にあつい約120万人のロータリアンがいます。各ロータリー・クラブは、毎週定期的に会合をひらいています。ふつうの会合では昼食や夕食をともにしながら、おたがいに親しみと友情を深めあい、クラブの運営や奉仕活動ほ方法、あるいは奉仕の機会などについて話しあっています。ロータリー・クラブへの入会は、現会員の推薦によってみとめられることになっています。そして、原則として各地域社会にあるさまざまな実業、専門職業から、その業種の代表的人物が1人ずつ会員にえらばれます。職業分類制度とよばれるシステムは、各クラブがその地域社会の各種業界の代表的人物、くまなく会員としてカバーできるようにするためのものです。
ごく初期のころのロータリアンの会合は、知り合いを広め、親睦を深めるという名目でひらかれていました、そして、会員がおたがいに商売、事業などに便宜をはかることがおもな目的となっていたのですが、創始者ポール・ハリスはまもなくこのようなやり方だけでは、多忙な人々を長くロータリーにとどめておくことができないとさとり、組織が拡大するにつれて、ロータリーの目的をいっそう高いところにおき“超我の奉仕”の理想をうちだしたのでした。そして、各会員がこの理想を、各自の商店、事業所、工場に、あるいは地域社会全体に、さらには、他の国々へ広める努力をするようもとめたのです。現在は、ロータリアンとしての特典を、自己の商売上、事業上の利益追求のために利用することは、公式に禁じられています。
ロータリアンは、混乱しているところに秩序をきずきあげ、醜いものを美しいものにかえ、誤解がうずまき、孤独感にさいなまれる社会に、温かい友愛の心をみなぎらせ、貧困の疾病に苦しむ人々に幸せと健康をもたらすよう努力しているのです。(中略)
ロータリーは、対立と分裂をもたらすような活動にかかわることはさけ、共通の利益をおもんじて、おたがいの理解と協力の心をつちかっていくものです。(中略)
ロータリアンは、実業人や専門職業人であることから、自己の職業をたんに生活の基盤とするだけでなく、職場の人々に、幸せをわかちあうための場としてとらえ、それを実践するよう、強くもとめられています。
さらに、ロータリアンは、自己の職場にあるいは居住する地域社会において、奉仕の機会をとらえて活用するように努力しなければなりません。(後略)
「ロータリアン必携」より