本日は映画鑑賞例会ということで、ご家族の皆様にも多数ご参加いただき、誠にありがとうございます。いつもとは少し趣の異なる、和やかなひとときをご一緒できることを嬉しく思っております。
さて、春は別れと出会いの季節と申しますが、当クラブにおきましても、この春、人事の異動で退会された会員がおいでです。御餞別をお渡ししてきたのですが、そんな折、ふと『土佐日記』の冒頭の一節を思い出しました。
土佐から京都への旅立ちに際し、藤原時実が馬のはなむけの宴を開いてくれるのですが、これは、旅の無事を祈って、馬の鼻を目的地に向けて送り出す、という所作から来ているとのこと。
従者が馬の口をしっかり押さえ、もう一人が踏み台を置いてご主人が鎧に足をかけ跨がり、鞍に落ち着いたのを見計って、さあ、無事にいってらっしゃい、と鼻の先をグイ、と目的地に向ける。
(当時の馬は、ずうっと小型ですから、馬の鼻は目の位置くらい)
別れは新たな道へと進むための節目で、またご縁が形を変えて続いていく始まりでもあります。寂しくはありますが、送り出す喜びと誇りを大切にしたいと思います。
そしてすぐに、新たな出会いが始まります。
この春、ご子弟が卒業や新入学という人生の節目を迎えられる会員もおいででしょう。
来週は観桜会。山形の桜も、ちょうど満開を迎えそうな気配です。
こうしてそれぞれの節目に思いを寄せたあと、来週は満開の桜のもとで、あらためて皆様と春の喜びを分かち合えればと思っております。
本日はどうぞ、ご家族の皆様とともに、映画と穏やかなひとときをお楽しみください。
歩み出す者の覚悟と、それを見送る者の思いとが、静かに込められているように感じられます。