このたび、山形西ロータリークラブの第69代会長を拝命いたしました。
2003年の入会から20年以上が経過し、ようやくロータリーの理念と精神の一端に触れることができたと感じております。会長という重責を深く受け止め、誠心誠意、職責を全うする所存です。
来年度、私たちのクラブは創立70周年という大きな節目を迎えます。10年前の60周年に倣い、記念式典および記念事業を通じて、クラブの結束力をさらに高め、次の世代へと確かなバトンをつなぐ契機としたいと考えています。
新型コロナウイルスの影響がようやく沈静化を見せた一方で、国際情勢は依然として不安定です。ロシアのウクライナ侵攻から3年が経ち、さらに世界各地での緊張が高まっています。
加えてガザでの虐殺を世界が見て見ぬふりをしている現状にも、深い疑問を覚えます。これまで信じてきた価値観が問い直される時代だからこそ、私たちロータリークラブの役割が一層重要になっていると感じます。
私たちは何ができるのか、何をしたら地域の社会のためになるのか、考え続けなくてはいけないと思います。
「疑うがゆえに知り、知るがゆえに疑う」(寺田寅彦)
この言葉のとおり、固定観念にとらわれることなく、何が本当に正しいのか、何が相応しいのかを学び続け問い続け、行動してまいりましょう。
本年度の国際ロータリー(RI)会長のメッセージは、
「UNITE FOR GOOD(よいことのために手を取り合おう)」
その実践の第一歩として、会員の拡大が強調されています。またそれを受けて、地区の基本方針は、
「良い事をしよう、地域で、世界で、未来のために」
私たちのクラブの基本方針は、
「クラブの力を結集して、地域と世界にいいことをしよう」です。
まずはクラブの財産とも言える歴史と伝統を再確認し、地域資源の価値を再認識することから始めましょう。
我がクラブの最大の財産は、100名を超える誇り高き会員の皆さまと、70年にわたって培ってきた独自の文化にあります。加えて、地域資源として、山形が世界に誇る「蔵王の樹氷」がありますが、近年の気候変動によってその存続が危ぶまれています。
この自然遺産を守るため、会員の知見とネットワークを活かし、具体的な行動を起こしたいと考えています。また、ロータリーが推進する「多様性・公平性・包摂性(Diversity, Equity, Inclusion)」の理念も踏まえながら、地域社会に対してよりよい働きかけができるよう努めていきましょう。
加えて、クラブ運営の効率化に取り組みます。
物価上昇が続く中、前年度に引き続き会費の値上げは行わず、印刷物やFAXの削減、ホームページのリニューアルによって、情報の一元化と業務の合理化を進めてまいります。
これにより、全会員が必要な情報へ迅速かつ容易にアクセスできる環境を整備し、クラブ運営の透明性と効率性を向上させます。
山形西ロータリークラブは、長年の伝統と格式のもと、独自の発展を遂げてきました。
ロータリーの理念や社会的意義は普遍である一方で、時代の変化に即した対応も求められます。ロータリーは、単なる奉仕団体でも、単なる親睦団体でもありません。職業奉仕と個人の活動で完結するわけでもありません。
国際ロータリーの基本理念や価値観と協調し、現代のロータリーにふさわしい姿勢と理解を深める必要があります。今年度は、高いロータリーの知見をもつ講師による例会を開催し、また私自身のロータリーに対する考えを会員と共有し、皆さまと共に学びを深めていく機会としたいと考えています。
世代交代はあらゆる組織において避けて通れないテーマです。
長年クラブを支えてくださった先輩方の知恵と経験をいただきながら、新たな世代の柔軟な発想と行動力を活かし、持続可能なクラブ運営を目指していきましょう。
例会では、すべての会員が心地よく過ごせるような工夫を施し、世代を超えた協力によるバランスのとれたクラブづくりに取り組んでいきます。
私たちは、急進的な変革を目指す団体ではありません。
しかし、変化の激しい時代にあっては、常に「今、何がふさわしいのか」を見極め、行動に移すことが求められています。
過去の慣習に固執するのではなく、今の社会に最も適した形を模索しながら、ロータリーの理念を真に実践してまいりましょう。
歴代会長の皆さまが築いてこられた成果をしっかりと受け継ぎ、新たな一歩を踏み出す一年とすべく、皆さまのご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
2025・2026年度 山形西ロータリークラブ
会長 五十嵐 信