みなさん こんにちは 今日から2月です。
今日は、史料管理委員会に例会の担当をお願いいたしました。
まずはお引き受けいただきました委員会の皆さまに、心より御礼申し上げます。
2月は「平和構築と紛争予防月間」です。
ご承知の通り、ロータリーは政治に介入しない団体です。
先の大戦でも、国家対立をクラブの外に置いてきました。
では、そんなロータリーが、なぜ今「平和」を正面から語るのか。
今日は、一緒に考えていきましょう。
「平和構築と紛争予防」、原文では、Peacebuilding 。
これは「戦争を止める」という意味ではありません。
紛争が起きない状態をどうやって社会の中に組み込むか、というかなり踏み込んだ概念です。
ロータリーがこのテーマに本格的に取り組み始めたのは、1990年代後半から2000年代初頭にかけてでした。
冷戦が終わった90年代、世界は平和になるどころか、逆に不安定になりました。
国家と国家が正面から衝突する戦争ではなく、内戦、民族対立、国家崩壊型の紛争が世界各地で頻発しました。
その現場をよく見ていくと、共通点がありました。
紛争の「直前」には、必ずと言っていいほど、
貧困、教育格差、水や衛生の不足、雇用不安、社会的排除、そして相互不信などが積み重なっている。
つまり、銃声が聞こえる前に、社会はすでに壊れ始めている、という現実です。
ここで国際ロータリーは、ある意味で大きな決断をします。
「慈善」や「親善」だけでは、平和は守れない。
善意を配るだけでは、紛争の連鎖は止まらない。
ならば、紛争を止めるのではなく、紛争が起きる理由そのものを消そう、と考えたのです。
2000年代に入ると、国際ロータリーは世界に数箇所、平和センターを設立しました。
目的は明確でした。
理念を語る人ではなく、制度を設計し、現場で機能させることのできる専門家を育てる。それが「ロータリー平和フェロー」です。
同時に、これまでの活動も再定義されました。
「水・衛生」「教育」「職業訓練」「青少年交換」「地域対話」。
これらを単なる人道支援ではなく「紛争を未然に防ぐための平和のインフラ」として位置づけたのです。
2010年代には、「平和構築と紛争予防」が正式に重点分野に加えられ、
ロータリーの活動は六つの重点分野として整理されました。
そして2020年代に入り、20年以上かけて育ててきたロータリー平和フェローたちが、国連や国際機関、各国政府、NGOの中枢で、実際に制度づくりを担う姿が、ようやく目に見える形になってきました。
人を育てるのは時間がかかります。
成果が見えるまで、20年、30年は当たり前です。
それを最初から覚悟した上で、粘り強く投資を続けてきた国際ロータリーの胆力に、会員の一人として、胸が熱くなります。
現在、平和センターは世界に5か所あります。
日本では国際基督教大学で修士課程が設けられ、
ヨーロッパではスウェーデンのウプサラ大学、
その他、オセアニアとアメリカでもロータリー平和フェローが育成されています。
入学基準は非常に厳しく、学力だけでなく、国際機関や紛争地域での実務経験を持つ社会人が選抜されます。
学費と生活費はロータリー財団が全額支援します。
これは、まさに人類の未来への長期投資です。
みなさんの記憶を呼び起こしてほしいのですが、1970年代のクメール・ルージュによる大虐殺に対して、世界は残念ながら「内政不干渉」という名の沈黙を選びました。
しかし、1989年の天安門事件を契機に、世界に
「見て見ぬ振り」は、もはや中立ではない、という認識が広がります。
その後、冷戦構造が崩壊し、紛争が頻発するようになり、国際ロータリーは、
国家でも軍事同盟でもない立場から、世界に新しい基準、新しい軸を提示してきた、そう言ってよいと思います。
ロータリーが行っているのは、国家対立や内戦を直接止めることではありません。
もっと手前で、もっと静かに、
しかし一番効くところに、粘り強く手を入れ続けてきた。
それが「平和構築」という仕事なのだと思います。
今月は、こうしたロータリーの思いを感じながら、私たちが世界にどのようないいことができるのか、少し考える機会にしたい、と思います。
ご出席の皆さまを心より歓迎申し上げ、会長の挨拶といたします。